設立する会社の基本的事項
株式会社を新しく作る場合は定款に記載する基本事項や登記事項等を決める必要があります。
発起人
発起人は、会社設立の手続きを行う人で、必ず1株以上の株式を引き受ける必要があり、最初の株主の一員になります。
商号
あらかじめネットで検索して決めたい商号に類似する商号を調査しておきます。同一所在地で同一の商号の会社の設立はできません。 株式会社を作るなら「株式会社」、合同会社をつくるなら「合同会社」の文字を商号の頭か末尾につける必要があります。
使用できる文字
ひらがな・カタカナ・漢字・アルファベット・アラビア数字(1,2,3…)
記号については「&」「’」「,」「−」「.」「・(中点)」は商号の先頭や末尾を除いて使用できます。
使用できない文字・記号
@!、?、()といった記号、ローマ数字(@、A…)
「支店」「支社」「事業部」など会社の一部門を表す語句は使用できない
「銀行」「信託」「保険」も、実際にその業務を行う場合以外は使用できない
本店
会社の本店がある場所です。賃貸で事務所を借りる場合は、賃貸借契約締結後に登記申請の流れになります。自宅も本店にできます。
ビルの名称や部屋番号を入れるか否かは自由です。
会社の目的
会社は「定款」の事業目的に書いてある事業しか行えないと決められていますが、定款上「前各号に附帯関連する一切の事業」も末尾に記載しますからかなり柔軟に事業ができます。事業目的は適法性・営利性・明確性が求められます。
その他にも将来予定する事業も目的に入れることができます。
会社の目的の数はいくらでも定めることができますが、10個以内が最初はいいと思います。
資本金の額
1円からでも設立できますが、あまりに低額の資本金では信用がありません。
設立時に資本金が1000万円未満の場合、設立事業年度と翌事業年度は消費税を納める必要がありません。
法人住民税の均等割は、資本金の額が1000万円を超えると、年額7万円から18万円になります。実際新たに会社設立する方のほとんどは資本金が400万円前後です。
日本政策金融公庫の創業融資の利用は資本金の額の2倍までが限度です。資本金は多めに設定しておけば、多く融資受けることができるかもしれません。
1株あたりの金額
1株あたりの金額をいくらにするかについて制限はありません。
1株当たりの金額は、自由に決められますが実務的には、1株あたり1万円又は1株あたり5万円とすることが多いです。
発行可能株式総数
会社が発行できる株式の上限数のことで、登記事項です。自由に決めることができますが、会社設立時に発行する株式数の10倍ぐらいにすることが多いです。
機関設計
株式会社においては取締役、合同会社においては業務執行社員です。1人の取締役の株式会社は取締役が代表取締役になります。取締役会、監査役等も定めることができます。
事業年度
事業年度は、登記事項でなく定款も任意記載事項ですが、一般的に定款に記載します。
通常は1年を1事業年度としまが、1事業年度は1年以内の期間であればよいので、1事業年度を半年とすることも可能です。
決算期の決め方
・繁忙期を外す
・税理士の忙しい月は避ける
・消費税は最初の2期間免税となるので、決算日も設立後1年近くにするとお得
公告の方法
「決算公告」や「資本金の額の減少公告(減資公告)」など広告する方法を定めます。公告の方法については、次の3つの方法の中から選択します。
官報に掲載する方法(官報公告)
日刊新聞紙に掲載する方法
電子公告(インターネット公告)
一般には、「官報に掲載する方法」を選択するケースが一番多いです。
株式の譲渡制限に関する規定
「当会社の株式を譲渡するには取締役会(株主総会)の承認を要する」という規定です。株式の譲渡制限を設けることで、知らないうちに第三者に株式が渡ることを防止できます。
株式の譲渡制限がある会社は、役員の任期を最長10年に延長できます。
株式の譲渡制限に関する規定を定める場合には、定款と登記に記載する必要があります。
役員の任期
取締役の任期は原則2年ですが、株式譲渡制限会社では、定款で取締役の任期を最長10年とすることができます。
2年から10年に延びたことにより、取締役の重任(更新のようなもの)の登記の手間や登記費用を抑えることができるというメリットがあります。
家族で経営する小さな会社では役員の変更はあまりありませんので、任期が短いと法務局の変更登記を任期ごとにすることになりますので10年など長い期間を設定するメリットがあります。
10年などの長い任期とした場合は次のリスクがあります。取締役の任期が短い任期であれば任期到来により辞めてもらえます。10年にした場合は、10年間は任期の期間がありますので、本人が辞めたくない場合は、解任するということになり、無効の解任決議だとして訴えられたり、解任によって生じた損害の賠償を請求されるなどトラブルの原因にもなります。身内以外の方が取締役になるときは、任期を短くしておいたほうがいいのかもしれません。